健康寿命
厚生労働省の健康寿命の定義
・「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
・「健康寿命」とは、“健康で日常生活を支障なく送ることができる期間”のことです。
・国連の世界保健機関(WHO)は健康寿命という新しい寿命の指標を取り入れました。これまでの平均寿命はいわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間を含むため、生涯の健康な時期とに大きな開きがあることが指摘されていました。
・健康に問題のある期間”とは、日常生活が制限されてしまうような「寝たきり」「認知症」といった介護が必要になる期間のことです。
・「平均寿命」から「寝たきり・認知症などの要介護期間」除いた期間、これが健康寿命ということになります。
・2016年の健康寿命は、男性が72.14年、女性が74.79年
・現在公表されている健康寿命はこの2016年までですが、2010年より、平均寿命と健康寿命の差は縮小傾向にあります。
・2019年の健康寿命は男性が72.68年、女性が75.38年になるという試算もあります。健康寿命はこの3年間で、男性が0.54年、女性が0.59年延びたことになります。
・日本ではこの寝たきりの期間が欧米各国と比べても長く6年以上にわたります。
・厚生労働省の掲げる「健康日本21」でもこの「健康寿命の延伸」を目的に種々の施策がなされています。
・日本は、平均寿命が男性80.98才、女性87.14才と世界でも有数の長寿大国です。しかし、健康寿命と平均寿命の差(=病気や要介護、寝たきり等の状態になってしまう、「日常生活に制限のある」期間)を見ると、平均して男性で8.84年、女性で12.35年もの期間があります。
・「日常生活に制限のある期間」をできるだけ短くすることを、一人ひとりに意識してもらい、健康寿命をのばす取り組みが進んでいるのです。
・人生100年時代と言われている中で、「生涯元気に自分らしく笑顔で暮らしたい」というのは、多くの人の願いではないでしょうか。そのために「健康寿命」をできるだけのばそうとさまざまな取り組みがおこなわれています。
・定年後、有意義な社会活動に参加して、今までに得てきた知識や経験を社会に活かそうという「プロダクティブ・エイジング」の概念が提唱されるなど、高齢期のライフスタイルに対する新しい考え方も広まってきています。
フレイル
・筋力低下などの身体の問題、認知症などの精神・心理的問題、社会的な問題を抱えている状態のことを「フレイル(虚弱)」と言います。フレイルは早期に発見し、運動や栄養で改善を図れば、もとの元気な状態に戻る可能性があります。予防せずに放っておくと要介護状態に陥ってしまうこともあり、健康寿命に大きくかかわってきます。
日本人の疾患別で見た死亡原因
最も多いのが「悪性新生物(がん)」、次いで「心疾患」「肺炎」「脳血管障害(脳卒中)」と続いており、これらはすべて生活習慣が深く関与する疾患として「生活習慣病」と呼ばれています。つまり、この生活習慣病を予防できれば、健康寿命がのびる可能性を高くすることができます。
生活習慣病予防には適度な運動が効果的
・生活習慣病を予防するには、運動、食生活、喫煙、飲酒などの生活習慣の見直しが重要になります。
・中でも適度な運動は効果的とされています。血流改善による新陳代謝の促進、中性脂肪量・血糖値や尿酸値、心肺機能や高血圧の改善だけでなく、健康な生活リズムの獲得とストレスの軽減なども期待できます。
・生活習慣病予防に効果がある運動は、ウォーキングなどの有酸素運動と立って歩くために必要な筋力強化運動です。
・個人によって適切な運動量は異なります。過度の運動で他の部位に支障をきたさないように、軽めの運動から始めましょう。また、関節の痛みや持病のある方は、間違った運動で痛みが増したり、持病が悪化することがありますので、運動の前に主治医や理学療法士へ相談することをお勧めします。
運動の効果に年齢は関係ない!
・生活習慣病の予防には適度な運動が効果的とお伝えしましたが、今から取り組んでも効果がないのではないかと思われる方もいるかもしれません。実際に、これまで老化は右下がりに進むと一般的には考えられてきましたが、実は亡くなる少し前までは身体の機能が比較的維持されているとわかってきています。
・身体の機能を維持するためには、活動的な生活を送ることが求められます。そうでない場合、運動不足により身体の機能の下がり方が大きくなってしまい、病気やけがなどをきっかけに急速に寝たきりとなる可能性も出てしまいます。
・運動は何歳から始めても、その時点からの予防につながります。体力に自信のない方ほど、正しい方法で取り組めば効果的です。さらに、運動によって、頭や身体の老化を抑えられるだけでなく、若返ることさえ可能になることもわかっています。
生活機能向上で健康寿命をのばそう
・例えば、文化サークルや地域の集まりなどに「参加」する機会を増やせば、運動量が増え「心身機能」が向上します。そして「心身機能」が向上すれば、「活動」の範囲が広がることとなります。さらに「活動」の範囲が広がれば、文化サークル等への「参加」の機会が増えていく…といった形で、好循環が生まれ、より活動的な生活へとつなげていくことができます。
・「参加」「心身機能」「活動」の3つの関係性を理解し、生活機能向上の好循環を生み出せるように意識していきましょう。
まとめ
今回は、健康寿命の基本的な考え方や、生活習慣、生活機能の好循環を生み出す仕組みなどについてご紹介しました。
できるだけ長く健康に日常生活を支障なく送るためには、運動を始めとした生活習慣病の予防や生活機能の向上がとても重要です。コロナ禍ということで、さまざまな活動やイベント等の参加に制限がある日常が続いていますが、密を避けたウォーキングや散歩、自宅での運動など、まずはできることから前向きに取り組んでいきましょう。
【2019健康寿命都道府県別トップ3】
都道府県別 健康寿命ランキング(2016のデータ)
男性 女性
順位 都道府県 健康寿命 順位 都道府県 健康寿命
1 山梨 73.21 1 愛知 76.32
2 埼玉 73.10 2 三重 76.30
3 愛知 73.06 3 山梨 76.22
18 山口 72.18 16 山口 75.18
山口県の将来人口の予測値
2015年 1,404,729人
※約10万人以上減少
2025年 1,292,809人
※約13万人減少
2035年 1,165,692人
※2030年の予想では、65歳以上は2.8人/1人、75歳以上は4.3人/1人と少子高齢化が進む。健康寿命への意識や取り組みとして、予防は重要であることをより多くの方へ伝えていく必要がある。
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