新型コロナウイルス
新型コロナウイルスとは?
重度の肺炎などを引き起こす新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は、SARS(サーズ)やMERS(マーズ)と同じコロナウイルスの仲間です。コロナウイルスはヒトや動物の間で広く感染症を引き起こします。
ヒトに感染するコロナウイルスは、すでに6種類が知られていました。そのうち4種類は、一般的な風邪の原因となるウイルスで、ヒトに日常的に感染し、風邪の原因の10~15%(流行期は35%)を占めるといわれています。残りの2種類は、重度の肺炎の原因となるSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス)とMERS(中東呼吸器症候群コロナウイルス)です。
中国で見つかった新型コロナウイルスは、これら6種類には当てはまらない新しい型です。国際ウイルス分類委員会は2020年2月に「SARS-CoV-2」と命名しました。ちなみにコロナウイルスを顕微鏡でみると、表面に突起がみられます。これが王冠に似ていることから、ギリシャ語で王冠を表す「コロナ」にちなんで名づけられました。
新型コロナウイルスは約2週間に1カ所程度の速度で変異しているといわれ、遺伝子情報の一部が変化した変異株が世界中で見つかっています。そのなかで従来よりも感染力しやすい、重症化しやすい可能性のある変異株、ワクチンが効きにくい可能性のある変異株が問題になっています。日本でも変異株の感染者が増えており、イギリスなどで広がる「N501Y」の変異があるウイルス、インドで最初に検出された「L452R」と「E484Q」という2つの変異を併せもつウイルスなどが脅威となっています。
一般的な症状
・発熱
・乾いた咳
・倦怠感
一部の感染者にみられる症状
・味覚・嗅覚障害
・鼻づまり
・結膜炎(目の充血)
・のどの痛み
・頭痛
・関節痛・筋肉痛
・発疹
・吐き気・嘔吐
・下痢
・悪寒・めまい
重度の症状
・呼吸困難
・食欲減退
・錯乱
・胸の持続的な痛み・圧迫感、38度以上の高熱
新型コロナウイルスの潜伏期間
世界保健機構(WHO)によると、潜伏期間は1~14日(多くは5~6日)とされ、感染者は14日間の健康状態の観察が推奨されています。
感染した人がほかの人へウイルスを感染させる可能性があるのは、発症の2日前から7~10日間程度。とくに発症の直前・直後でウイルス排出量が高くなると考えられています。
感染経路
新型コロナウイルスの感染源は明らかではありませんが、おもな感染経路はヒトからヒトへの「飛沫感染」や「接触感染」と考えられています。ヒトから動物への感染事例もありますが、数はわずかです。
飛沫感染
感染した人が咳やくしゃみをしたときにウイルスが飛び散り、周囲の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み、体内に入ることで感染する。
※おもな感染場所 学校、職場、満員電車など、人が多い場所
接触感染
感染した人の咳やくしゃみ、またはそれらが付いた手で触れることで身の回りのものにウイルスが付着し、それを健康な人が触り、その手で目や口、鼻を触ることでウイルスが体内に入って感染する。
※おもな感染場所 ドアノブ、手すり、つり革、スイッチなど
新型コロナウイルス感染症の予防対策
手洗い、マスクの着用(咳エチケット)、アルコール消毒などの感染症対策が重要です。
<マスクの種類による効果の違いは?>
飛沫感染を防ぐ効果は、不織布マスクがもっとも高く、布マスク、ウレタンマスクと続きます。サイズがあったマスクを選び、は取扱説明書のとおりにつけて、鼻からあごまで覆ってすきまがないように着用します。
新型肺炎の治療方法
WHOによると、新型コロナウイルス感染症の症状が出た人のうち、およそ80%の人は軽傷で自然に回復、約15%の人が重症化し、約5%の人は集中治療が必要な深刻な状態になっています。
多くの場合は、経過観察のみで回復していきますが、必要な場合には解熱剤の投与や点滴などの対症療法がとられます。また、呼吸不全を伴う場合には、酸素投与やステロイド薬・抗ウイルス薬の投与、人工呼吸器等による集中治療がおこなわれます。
日本国内で承認されているのはファイザー社のワクチンのみですが、現在モデルナ社やアストラゼネカ社の承認可否についても審査中です。
国立感染症研究所による懸念される変異株
・B.1.1.7(英国で最初に検出された変異株)
・B.1.351(南アフリカで最初に検出された変異株)
・P.1(日本でブラジルからの渡航者に最初に検出された変異株)
・P.3(フィリピンで最初に検出された変異株)
・B.1.617(インドで最初に検出された変異株)
(※) Pangolin (COVID-19 Lineage Assigner Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak LINeages) による分類系統名
これらの変異株は、従来株よりも感染しやすい可能性があります
(英国で最初に検出された変異株は、実効再生産数の期待値が従来株の1.32倍と推定、診断時に肺炎以上の症状を有しているリスクが従来株の1.4倍(40-64歳では1.66倍)と推定)。
英国や南アフリカで最初に検出された変異株は、重症化しやすい可能性も指摘されています。
南アフリカで最初に検出された変異株、日本でブラジルからの渡航者に最初に検出された変異株、フィリピンで最初に検出された変異株、インドで最初に検出された変異株は、従来株より、免疫やワクチンの効果を低下させる可能性が指摘されています
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