コロナワクチンの効果

イギリスのオックスフォード大学は、製薬大手アストラゼネカと開発した、新型コロナウイルスのワクチンについて、1回目の接種の3か月後でも有効性は76%で、一定期間は効果が続くとする研究結果を発表しました。


このワクチンは通常2回接種ですが、発表によりますと、1回の接種でも、有効性は22日後から90日後まで76%で、この間、有効性の低下はみられなかったということです。


また、2回目の接種までの間隔を変えたところ、6週間以内に2回目を接種した場合の有効性は54.9%だったのに対し、12週間以上空けて2回目を接種した場合の有効性は82.4%に高まったとしています。


今回の結果について研究チームは「1回の接種でも一定の期間、高い有効性が維持されることがわかった。接種の間隔を最大3か月とするイギリスの専門家委員会の方針を支持する結果となった」としています。


一方、これとは別のワクチンで、接種の間隔を3週間としている、アメリカの製薬大手ファイザーは、イギリス政府の方針について「臨床試験では1回目の接種後にどれだけの有効性があるか十分示されていない」として、間隔を変えて接種することは推奨しないとしています。

(2021年2月3日時点)


持続効果

このうち、アメリカの製薬大手、ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックは2021年4月1日にプレスリリースを出し、ワクチンの接種後、6か月たった時点でどのくらい効果があるか、分析した結果を示しました。


臨床試験に参加した4万6307人のうち、2回接種した7日後から6か月たった時点までに新型コロナウイルスの症状が出た人は927人いました。このうち、ワクチンの接種を受けていたのは77人、偽薬=プラセボの投与を受けていたのは850人で、発症を防ぐ効果は91.3%だったとしています。


アメリカのCDC=疾病対策センターの基準に基づいて重症者とされたのは32人でしたが、すべてプラセボを投与された人だったということで重症化を防ぐ効果は100%だとしています。

安全性についても接種から少なくとも6か月たった時点で1万2000人以上のデータを分析した結果として、問題は見られないとしています。


アメリカの製薬会社、モデルナは、2021年4月6日、アメリカの国立アレルギー感染症研究所などとともに、2回目の接種から6か月たった時点での抗体の状況についてまとめた論文を医学雑誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表しました。


初期の臨床試験に参加した人のうち、33人について2回目の接種から6か月後に抗体の働きを示す数値を測ったところ、▼18歳から55歳、▼56歳から70歳、▼71歳以上のいずれの年代でも抗体の量は減少したものの、十分あったとしています。


モデルナは、▼6か月目以降の免疫の状況を確認するとともに▼追加でワクチンを接種することで長期にわたって効果が維持できるかや、変異ウイルスに対する効果を示せるかなど確認する研究も進めているとしています。

(2021年4月13日時点)


受けるのか?受けないのか?

長期にわたる副作用がないとは言い切れず、数年たって出てくる影響はまだ分かっていないが、時間がたってからしか分からないもの以外はすべて明らかになっている。新型コロナウイルスに感染したり、重症化したりするリスクを考えると、ワクチンを接種してそのリスクを下げる方が大切だ」と述べました。


その上で石井教授は「いまは、ワクチンを前にして『あなたはどうしますか』と個人や社会に突きつけられている。科学的に申し上げると、リスクが高い人、具体的には65歳以上の人はワクチンを打ってほしい。また、高齢者や基礎疾患のある人などの家族も接種してリスクの高い人を守れるようにしてほしい。ワクチンを接種しなければ、感染のリスクはそのままだ。自分だけでなく、家族や周囲への影響も考えて自分自身で判断してほしい」と話しています。


また、政府の分科会のメンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「各国のワクチンの治験のデータやすでに接種が始まっている国々からの情報を見る限り、少なくとも非常に心配しなければならないような副反応というのは見られないと思う。インフルエンザのワクチンなどに比べて、接種時に痛みがあったり、腫れが引きにくかったりすることはあるかもしれないが、ほとんどの場合は時間の経過とともに消えてしまうと言うのが、いままでのデータから見えている。ただ、接種に際して、心配になった場合に相談できたり、診療を受けられたりする体制を整えることは、必要だと考えている」と話しています。


その上で岡部所長は「私が接種を受けるかどうか聞かれれば、やはり『受ける』と答える。感染してしまうと軽症で済む場合もあるが中には重症になってしまう人もいる。その割合とワクチンで重い副反応が出るリスクを比べると、ワクチンを受けて病気を防ぐメリットの方が大きいと思う。ただ、体質によっては、受けたくても受けられない人もいるし、どうしても受けたくないという人もいるはずだ。個人の判断は当然、尊重されるべきだと思う」と話しています。

(2021年2月15日時点)


遺伝子ワクチン「mRNAワクチン」が働く仕組みは?

実用化されているファイザーなどのワクチンやモデルナのワクチンは、いずれも「mRNA」という物質を使った「mRNAワクチン」です。

mRNAワクチンは、ウイルスの表面にある「スパイクたんぱく質」と呼ばれるたんぱく質の遺伝情報を含んだ「mRNA」をヒトの体内に投与します。

この「mRNA」はヒトの細胞の中で設計図のように働いて次々とスパイクたんぱく質が作られます。

すると免疫の働きでこのスパイクたんぱく質に対する抗体が多く作られるようになり、実際にウイルスが入ってきてもすぐに攻撃できるようになります。

ただ、mRNAは不安定で、ワクチンとして投与した場合も、すぐに分解されてしまうため体内には残りません。

また、細胞の中に入ってもヒトの遺伝子がある「核」という部分には入り込むことがないため安全性が高いとされています。

もう一つ、遺伝子を使ったワクチンとして実用化されているのが「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプで、アストラゼネカなどのワクチンがこれにあたります。

新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を作る遺伝子を無害な別のウイルスに組み込んでそのウイルスごと投与します。

すると、体内で無害なウイルスが細胞の中に入り、新型コロナウイルスのスパイクたんぱく質を作り出すことで、抗体が作られます。

このほか、日本の製薬ベンチャーが臨床試験を進めている「DNAワクチン」は「スパイクたんぱく質」の遺伝情報が含まれたDNAを「プラスミド」と呼ばれる小さな遺伝子に組み込んでヒトの体内に投与します。

細胞の中では投与したDNAを元にmRNAが作り出され、mRNAワクチンと同じように、スパイクたんぱく質が作られ、免疫の機能が働くと期待されています。

(2021年2月15日時点)


それぞれの効果は?


ワクチンの効果は、ワクチンを接種したグループと、プラセボと呼ばれるワクチンに似せた偽の薬の投与を受けたグループを比較して評価します。


発症した人の割合が、ワクチンの接種を受けたグループでプラセボの投与を受けたグループより少なければ、発症を予防する効果があったものと判断できます。


厚生労働省が契約したワクチンのうち、アメリカの製薬大手「ファイザー」とドイツのバイオ企業「ビオンテック」が開発したワクチンと、アメリカの製薬会社「モデルナ」のワクチンでは、数万人を対象にした臨床試験で発症を予防する効果が90%を超えていたとする結果が出されています。


ワクチンではない、プラセボを投与された人のうち、一定の時間がたった段階で発症した人の割合を100とすると、ワクチンを接種した人のうち発症した人の割合は10未満で、これを比較して発症が90%以上抑えられたということを示しています。


ただ、ワクチンを接種しても感染することはあるため、ワクチンの接種が始まったとしても、マスクの着用や「3密」を避けるといった感染対策は引き続き必要です。

◎日本でも接種が行われる予定のワクチンの効果について、論文や発表に基づいてまとめました。


●ファイザー

ファイザーとビオンテックのワクチンについて、臨床試験の結果をまとめた論文によりますと、最終段階の臨床試験には4万3448人が参加し、感染歴がなかった人のうち臨床試験に参加した後で新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、▼ワクチンを接種された人では2万1720人(実際に分析したのは1万8198人)中、8人だったのに対し、▼プラセボ(偽薬)を投与された人では2万1728人(実際に分析したのは1万8325人)中、162人で、ワクチンで発症を予防する効果は95%だったということです。


●モデルナ

モデルナのワクチンについて、臨床試験の結果をまとめた論文によりますと、最終段階の臨床試験には3万420人が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種された1万5210人では11人、プラセボを投与された1万5210人では185人で、ワクチンの発症予防効果は94.1%だったということです。


●アストラゼネカ

イギリスの製薬大手、アストラゼネカの3月25日の発表によりますと、アメリカやチリ、ペルーなどで行われた3万2449人を対象にしたワクチンの臨床試験で、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは190人で、これをワクチンを接種した人とプラセボを投与された人で比較すると、発症を防ぐ効果は76%だったとしています。アストラゼネカは「古いデータが含まれ、有効性の評価が不完全な可能性がある」として、アメリカの国立アレルギー・感染症研究所から最新かつ正確なデータを示すよう求められたのを受けて、分析し直したデータを公表し、79%としていた発症を防ぐ効果について76%に修正しました。また、重症化した人が8人いましたがすべてプラセボを投与された人で、重症化を防ぐ効果は100%だとしています。


●ジョンソン・エンド・ジョンソン

アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンについて、4万3783人が参加した臨床試験の中間報告では、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは468人でした。

ワクチンは1回だけ接種する仕組みで、接種から28日後以降に中程度の症状や重症になるのを防ぐ効果は66%だったとしています。

また、重症のケースに限ると予防効果は85%だったということです。


●ノババックス

アメリカのバイオ企業、ノババックスはイギリスで行ったワクチンの臨床試験の結果を発表しています。

それによりますと、臨床試験には1万5000人以上が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種した人の中では6人、プラセボを投与された人の中では56人で、予防効果は89.3%だったとしています。


●ロシア・スプートニクV

ロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所の発表によりますと、ロシアが開発したワクチン「スプートニクV(ぶい)」の臨床試験には1万9866人が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種した1万4964人のうちでは16人、プラセボを投与した4902人では62人だったということです。

ワクチンの予防効果は91.6%だったとしています。

また、重症化した人は20人いましたが全員がプラセボを投与された人だったということで、「ワクチンの接種から21日目以降の重症化を防ぐ有効率は100%だった」としています。

このワクチンは、ロシアなどで接種が行われています。


●シノファーム

中国国有の製薬会社「シノファーム」はウイルスの毒性をなくしたタイプの「不活化ワクチン」を開発しています。

ウェブサイトによりますと、最終段階の臨床試験でのワクチンの有効率は、UAE=アラブ首長国連邦で86%、中国では79.34%としていて、中国などで接種が行われています。

(2021年3月25日時点)

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