フレイルの予防 ウォーキング
フレイル予防としてのウォーキングの重要性
・コロナ禍における不要不急の外出制限の呼びかけもあり、「身体を動かす機会」が減っている方は、増えているのではないでしょうか。身体を動かす機会が減ると、フレイル(虚弱)といわれる状態になり、こころや身体にさまざまな悪影響が出てくることがわかっています。
・“こころ・認知の虚弱”や“社会性の虚弱”などもありますが、“身体の虚弱”のうち、特にサルコペニア(筋肉量の減少)は、転倒し骨折する危険性や、脂質異常症などの生活習慣病となるリスクが高まり、生命に関わる病気につながったり、寝たきり(要介護状態)になる可能性があります。
・メディカルウォーキングの目標は「いつまでも速く歩ける」です。ウォーキングを継続することによって、速く歩けるようになり、こころや身体に良い変化が起きることが確認できています。
・実践した方からは、「ウォーキングを継続したら半年で股関節の痛みがなくなり、薬が減りました」「夫に先立たれ、元気が亡くなっていましたが、みなさんと一緒に歩いて元気が出ました」といった声をいただいています。
・歩行速度と平均余命の関係についての研究によると、65歳男性の場合、歩行速度が1.6メートル/秒で平均余命は33年、1.1メートル/秒で20年と試算されており、男女ともに歩く速度が速い人ほど、平均余命が長いという結果も出ています。そして、要介護リスクも低くなります。(歩行速度のイメージとしては、1.6メートル/秒以上の方は若い人並みに歩ける状態で、1.0メートル/秒以下ですと横断歩道を渡るのが難しい状態です。こちらはあくまで基準値となりますので、みなさまの状況にあった速度を目指してください。
・このように「速く歩く」ことは、健康寿命につながっており重要です。今回は、「速く歩ける身体づくり」の以下の3つのポイントをお伝えしていきます。
2つの筋肉の働き-表層筋・深層筋とは
・「速く歩ける身体」とは、どのような状態を目指せばよいのでしょうか。それは筋力が強いこと、身体のバランスが良いこと、柔軟性が高いことだと考えられます。
・「歩く」という動作において、身体で一番活躍するのは筋肉です。筋肉は2つの働きに分けることができます。歩く推進力を生み出す「表層筋」と、関節の安定性に寄与する「深層筋」です。
・「表層筋」は身体の表面近くにある筋肉で直接触ることができます。歩くときは、基本的に全身の筋肉を使いますが、早歩きにおいて、推進力に必要な下肢の筋肉は、大臀筋、大腿四頭筋、中臀筋、下腿三頭筋です。
・直接触ることができない「深層筋」は関節の近くにある筋肉です。下肢の主な筋肉は、大腰筋、腸骨筋、梨状筋などです。
ウォーキング
・ウォーキングをおこなう際は、これらの筋肉を使ってしっかり地面を蹴り出すように歩いていただくと、歩行速度がアップすることを実感できると思います。
・背筋を伸ばす、後ろの足で身体を前に出す、爪先で蹴り出して踵から着地する、という3つを意識しながら表層筋を使って歩いてみましょう。
・関節の安定性に寄与する「深層筋」を鍛えましょう!
深層筋のトレーニング
・立位で足を前後に振ります。このとき、腹部に力を入れて前に振りましょう。
・この深層筋を使った歩行は、前に振り出した足に体重をかけることを意識します。
・足の筋力が低下した状態のすり足はふらついたり、足先をひっかけることがあり、転倒の注意が必要ですが、やり方次第で筋トレになります。そこで、能の歩き方である「ハコビ」を参考にご紹介しますので、トレーニングに取り入れてみましょう。
・膝を軽く曲げた状態で体を起こし、すり足をしながら前に進んでいきます。この動作では、振り出す足とは反対の足に体重をかける→足を振り出す→振り出した足に体重をかける、を繰り返します。
①足を上げずに、足の踵を一方の足のつま先あたりまで前に出します。
②前に出した足のつま先だけ上にあげます。
③上げたつま先をすぐに下におろします。
④もう片方の足も先ほどと同様に、床から離さずに一方の足のつま先あたりまで前に出し、これを繰り返していきます。動画を見ながら同じ動作をしてみましょう。
・大腰筋を使って足を振り出すためのトレーニングは、図の通り、体を真っ直ぐ立った状態で、骨盤から足全体を前後に振ります。このとき、ゆっくりと足を動かし、大腰筋を使って前に足を出すイメージでおこないます。
・深層筋を鍛えるために大事なのは、骨盤から足全体を使って前に足を振り出す歩き方をすること、そして、振り出した足が床についたら体重をかけることです。
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