3学会呼吸療法認定士とは

呼吸療法認定士とは

・呼吸療法認定士とは「特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」が合同で創設した認定資格です。患者さんの高齢化が進んでいる現在の医療現場では、重症をおった患者さんに対する呼吸療法(人工呼吸器などを用いた療法)が大切になっています。しかし、呼吸管理を行える技術のある医療人材が少ない状況が課題とされていました。


3学会が共同で呼吸管理を行える医療人材のレベル向上と維持を目的として、資格として認定することになりました。呼吸療法認定士の主な役割としては、呼吸理学療法や吸入療法、酸素療法などの呼吸療法の的確な実施と、その機器の管理となります。しかし、各医療従事者の業務範囲をこえない部分で行うことになっています。


呼吸療法認定士を取得するには

呼吸療法認定士の資格を取得するには、2つの条件を満たしたうえで認定講習会を受講し資格試験を受ける必要があります。


2つの条件について

呼吸療法認定士の資格を取得するには、認定講習会を受講する必要があります。この認定講習会を受講するには、満たしておかなければならない“必須条件”があります。


条件1 【必要資格・年数】

・臨床工学技士:実務経験2年以上

・正看護師:実務経験2年以上

・准看護師:実務経験3年以上

・理学療法士:実務経験2年以上

・作業療法士:実務経験2年以上


条件2:【学会・講習会等の出席】

・認定委員会が認める学会や講習会などに出席し、12.5点以上を取得している者。(申請書類提出日までの5年以内)


◆認定講習会◆

【講習会の講義内容】

1.血液ガスの解釈

2.呼吸機能とその検査法

3.呼吸不全の病態と管理

4.呼吸リハビリテーション

5.酸素療法

6.人工呼吸器の基本構造と保守および医療ガス

7.気道確保と人工呼吸

8.NPPVとその管理法

9.開胸・開腹手術後の肺合併症

10.新生児・小児の呼吸管理

11.人工呼吸中のモニター

12.呼吸不全における全身管理


◆認定試験◆

認定試験は1年に1回行われ、筆記試験(マークシート式)のみとなっています。試験範囲は講習会と配布されるテキスト、普段から行っている業務内容からになります。


更新について

呼吸療法士の試験に合格すると「3学会合同呼吸療法認定士認定証」が交付されます。認定証には有効期限が設けてあり、5年毎の更新が必要です。この認定制度は、認定者の呼吸療法のレベルアップや生涯学習の促進を図ることが目的とされています。

更新には、学会や講習会などへの出席、論文発表などによって総得点50点以上の取得が必要です。そして、取得点数の証明書など更新に必要な書類を受付期間内に委員会へ提出することで認定証を更新することができます。

●認定証:5年毎

●更新期間:4月~9月

●更新条件:学会・講習会の出席、論文発表などで50点以上の取得

●更新方法:必要書類の提出

対象年度の更新受付期間は4月~9月となっており、期間中の更新が必要です。更新に必要な点数取得基準や更新期間など、詳しくは公益財団法人 医療機器センターの「認定更新申請手続きについて」を確認。


理学療法士と呼吸療法認定士

理学療法士の呼吸療法認定士の資格取得者数は、公益財団法人 医療機器センターによると2018年時点で約1万5800人と全体の約3割を占めます。資格を取得している理学療法士の多くは、リハビリテーション科のある病院や訪問リハビリ、介護業界で活躍されています。人工呼吸サポートチーム(RST:Respiration Support Team)がある病院では呼吸療法認定士の資格を持っていると優先的にチーム医療へ配属されます。それだけ呼吸療法認定士を持っている医療スタッフは少なく重要な存在であることが分かります。


理学療法士の業務はチーム医療の一員として、呼吸リハビリテーションを行います。基本的には、人工呼吸器を使っていた方が、機械に頼らずに呼吸できるようにリハビリしますが、理学療法士として医師に提言を行ったり、臨床工学技士とも連携して呼吸の改善に尽くします。


作業療法士と呼吸療法認定士

2014年から呼吸療法認定士資格を作業療法士も取得が可能となりました。公益財団法人 医療機器センターによると、作業療法士の呼吸療法認定士の資格取得者数は2018年時点で約1400人です。資格取得が可能となり約5年、まだまだ取得者数は少ないですが年間約300人の作業療法士が呼吸療法認定士を取得しています。呼吸療法認定士を持っている作業療法士はまだ少なく、重要な人材ですのでチーム医療の一員として優先的に配属されます。

資格を持つ作業療法士は、主に病院のリハビリテーション科や訪問リハビリなどで活躍していますが、介護業界でも必要とされているため今後介護業界でも活躍する方が増えるはずです。


呼吸療法認定士の年収

呼吸療法認定士の資格を取得すると、給与や年収が上がるのでは?と思い資格取得を考えている方は少なくないはず。しかし、呼吸療法認定士の資格を取得したからといって、給与が上がるということは残念ながら期待できません。勤務先によっては、資格手当などが貰える場合もありますが実際は少ないようです。呼吸療法認定士としての給与は、理学療法士や作業療法士としての給与額とほぼ同じ。呼吸療法認定士として給与や年収を上げたいと思っている方は、取得後に転職を視野に入れてみるのもいいかもしれません。現在、理学療法士や作業療法士でこの資格を持っている方は看護師に比べてまだ少ないので、転職で有利になれるだけではなく、給与面で優遇される場合もあります。


呼吸療法認定士の需要

超高齢社会となっている現在、医療現場においても患者さんの高齢化が進んでいます。そのため、重症をおった患者さんに対して呼吸療法を行う頻度は増加し、重症患者への管理の必要性が高まっています。

呼吸療法において呼吸管理はとても重要なことの一つですが、呼吸管理を行える医療関係の人材がまだ少ないのが現状です。まだ、認知度は低い資格ですが今後さらに需要は高まると予想されます。


呼吸療法認定士の取得者数

臨床工学技士約6400人

看護師約2万6000人

准看護師約500人

理学療法士約1万6000人

作業療法士約1400人

看護師の取得者が多い傾向にありますが、リハビリテーションの際に役立てることが可能なので理学療法士や作業療法士の取得も多くなっています。医療知識を増やすことができるため、知識を深めたいという方におすすめな資格と言えます。


呼吸療法認定士の勉強会について

認定証の更新には「呼吸療法認定士認定更新に必要な点数取得基準」に書かれている学会や講習会などに出席、論文発表などによって必要点数を取得しなければなりません。講習会やセミナーに“出席したのか”“講演したのか”などによって、それぞれ点数が定められています。しかし、なかには各学会や講習会への出席が困難な方もいるため、そのような認定士に向けた「認定更新のための講習会」が実施されています。この講習会は「委員会が主催する更新のための講習会」に該当し、2日間の講習会を受けることで60点取得することが可能です。


まとめ

高齢化社会から高齢社会になってきている今、理学療法士や作業療法士が呼吸療法認定士の資格を持つことはスキルアップや給与アップに多いに役立ちます。

呼吸器系の診療科を持つ病院では、採用時に優遇されますので転職にも役立ちます。海外では呼吸療法士が国家資格になっていますので将来的に日本でもそうなるかもしれませんね。

ますます必要とされる呼吸療法認定士、ぜひ取得してみてくださいね。







自律神経専門整体 GREEN

他人軸から自分軸へ 「調身、調息、調心」

0コメント

  • 1000 / 1000