肩こり

【肩こりとは】

症候名のひとつ

肩だけでなく、首も凝ることが多い

主に僧帽筋に起こる症状


厚生労働省による国民生活基礎調査(2015年度)における有訴者率

男性2位、女性1位

男性1位、女性2位は共に腰痛


項頸部から僧帽筋エリアの諸筋に生じる主観的に詰まったような、こわばった感じや不快感・こり感・重苦しさや痛みにいたる症候の総称である。頭痛、吐き気を伴うことがある

日本では「肩こり」という名称により「肩」を指す表現が用いられている

日本独特のもので同症状を諸外国では首や背中の疾患として示している事が多数である

頸肩腕症候群の初期症状である場合もある


頸肩腕痛を訴える人の割合が多く,社会上の問題となっている

平成 28 年に行われた国民生活基礎調査の肩こり症状の有訴率

男性 2 位、女性 1 位


国際的な視点からも慢性頸部痛の有訴者数は上昇傾向にあることが報告されており,我が国と同様の傾向にある


【原因として考えられていること】

この症状に対する原因には諸説あるものの、確定的な診断方法や治療法はなく、腰痛などと並んで不明な点がとても多い疾患


〇原発性肩こり

長時間、首や背中が緊張するような姿勢をとり続けたり、猫背、前かがみなどの姿勢の悪さ、ショルダーバッグ、冷房などが原因とされる

頭や腕を支える僧帽筋やその周辺の筋肉(肩甲挙筋・上後鋸筋・菱形筋群・板状筋・脊柱起立筋)の持続的緊張によって筋肉が硬くなり、局所に循環障害が起こる

酸素や栄養分が末端まで届かず、疲労物質が蓄積しこれが刺激となって肩こりを起こすと考えられている

 筋肉を包む筋膜に出来る皺が原因となる場合もあることが、最近分かってきた


〇症候性肩こり

ある疾患によって起こる肩こりであり、頚椎性、心因性、眼疾患、肩関節疾患、心肺疾患、歯や顎関節疾患、耳鼻科疾患による場合などがある


〇英語では肩こりを

「stiff neck」「tight shoulders」「shoulder discomfort」「shoulder stiffness」

以前はこのような種々の表記が見られたが、コンピューターやスマートフォンの普及で欧米でも肩こりが増えると、論文も増え最近は「neck pain」と表記されることが多い


〇症状として考えられていること

帽筋エリア(特に肩上部)の局部の圧痛

進行すると圧痛点やこりを感じる部位が拡大

筋肉の持続的緊張により圧痛部位が拡大し、深層筋(肩甲挙筋・棘上筋・菱形筋・脊柱起立筋群・上後鋸筋)にまで凝りが拡大すると「芯が凝ったような凝り」として感じられ、筋肉がこわばり、重苦しさを感じるようになる

主観的には頸部~肩上部に「ズシーンとした感じ」「何かものがのっているかのような感じ」や肩甲骨と脊柱の間(肩甲間部)や肩甲骨の内側の際に「鉄板が入ったような感じ」として感じられることが多い

重苦しさを放置すると痛みを感じるようになり「首筋まで痛い」「凝りすぎて背中が痛くて眠れない」、進行すると緊張性頭痛や顔面・上肢の関連痛が生じるようになる



〇勤労者の肩こり症状に関連する因子の検討 

http://www.jsomt.jp/journal/pdf/067020087.pdf


要旨

肩こり症状の有訴者は,男性に比して女性に多く,体幹筋筋肉量が低値であるほど,また仕事時の姿勢が座位中心でほとんど歩くことがない者に多いことを認めた.

注目すべきは体幹筋筋肉量の低下で,これは肩こり症状により体幹機能障害が生じて体幹筋肉量が低下した可能性,あるいは体幹筋の活動不良により頸肩腕部の負担が増加する不良姿勢に伴って肩こり症状が生じた可能性を示唆していると推察した.

このため,座位時に腰部周囲の体幹筋を意識的に働かせて,腰椎が過度の前弯(反り腰)とならない,あるいは,胸椎が過度の後弯(猫背)とならないように座位時の姿勢を矯正する,などの総合的なアプローチが有用ではないかと考えた.


まとめ

50 歳未満の勤労者を対象として,所属する事業場の影響を考慮して,肩こり症状に関連する身体・生活・勤務状況について検討した.

肩こり症状の有訴者は,男性に比して女性に多く,体幹筋筋肉量が低値であるほど,また仕事時の姿勢が座位中心でほとんど歩くことがない者に多いことを認めた.

注目すべきは体幹筋筋肉量の低下で,これは肩こり症状により体幹機能障害が生じて体幹筋肉量が低下した可能性,あるいは体幹筋の活動不良により頸肩腕部の負担が増加する不良姿勢に伴って肩こり症状が生じた可能性を示唆していると推察した.

勤労者における肩こり症状に対する予防法・指導法として,筋力や体組成などの性差に配慮すること,長時間の連続した座位姿勢を避けることが大切であると考えた.

座位時に腰部周囲の体幹筋を意識的に働かせて,腰椎が過度の前弯(反り腰)とならない,あるいは胸椎が過度の後弯(猫背)とならないように座位時の姿勢を矯正する,などの総合的なアプローチが有用ではないかと考えた.



〇大学生における肩こりの心理・身体的特性について
─自覚的ストレス,STAI,SF-36,唾液コルチゾールによる検討─

https://www.jstage.jst.go.jp/article/onki/79/2/79_119/_pdf/-char/ja


目的

肩こりは国民の多くが経験する症状であるが,肩こりに関する研究は非常に遅れているのが現状である.そこで本研究では,肩こりの特性を明らかにするため,肩こりを有する者と有しない者の比較検討を行った.


まとめ

大学生を対象とし,肩こりを有する者と有しない者の比較検討を行った結果,身体的特性として,圧痛所見が肩こりの部位を特定する指標となる可能性が示唆され,硬結所見では,自覚症状と硬結所見は一致しない可能性を示唆する結果となった.心理的特性として,肩こりと心理社会的要因の関与を示唆する結果となり,肩こりの心理社会的要因を評価する必要性が示唆された.唾液コルチゾールに関しては,性差や唾液採取の時間帯を考慮した評価の必要性が考えられた



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