理学療法士のためのウィメンズ・ヘルス運動療法
運動療法の対象
年齢層では、0歳~100歳まで
医療面では、身体機能障害から保健福祉にかかわる高齢者の健康増進や障害予防まで多岐にわたる
患者
PTによって、機能障害や機能的制約を有していると判断され、機能を改善し能力障害を予防するために理学療法を受ける人のこと
クライアント
機能障害と診断されていないが、健康状態の向上と機能障害の予防のため、理学療法サービスを受ける人のこと
ウィメンズ・ヘルス分野
女性の誕生から死までの健康問題を扱うため、運動療法の対象者も幅広い年齢層となる
出産前に仕事を有していた人は70.7%
出産後にも就業を継続している人は26.8%
6割以上の女性が第一子出産を機に離職傾向が続いている
※家庭と仕事の両立は女性にとって負担が大きい
出産が骨盤底機能に及ぼす影響
帝王切開では、出産後において安静時膣圧のみが優位に低下
自然分娩、機械分娩では、安静時膣圧、最大筋力、収縮持続力のすべてが優位に低下
出産だけでなく、妊娠すること自体も骨盤底に影響を及ぼし、帝王切開と比較して、経腟分娩のほうがその影響が大きい
尿失禁の有無による骨盤底機能の違い
骨盤底筋群の筋力低下、最大筋力の低下は運動療法により改善が見込めるためPTがかかわる意義がある
呼吸と骨盤底筋群との関係
横隔膜と骨盤底は腹式呼吸の呼気時には頭側に、吸気時には尾側に連動して動く
骨盤底筋トレーニングでは、呼気と合わせて骨盤底筋群を収縮し、吸気と合わせて骨盤底筋群を弛緩させるように指導する
腹横筋と骨盤底筋群との関係
腹横筋と内腹斜筋の収縮により、骨盤底筋群は共同収縮する
骨盤底筋群あるいは腹横筋の収縮により尿道内圧が上昇する、尿流を途絶することができる
腹横筋
腹部の中でも最も深層に位置し、骨盤底筋群、横隔膜、多裂筋とともにインナーユニットを形成し、体幹の安定化に関与する
月経前症候群 (PMS: Premenstrual Syndrome)
月経前3~10日間続く、身体的および精神的な愁訴を示す
月経前の自覚症状が強く出現して日常生活の質が低下し、医療介入が必要な状態のこと
基礎体温の評価が必要
競争的な激しいスポーツを長期間行っている女性アスリートのほうが、普通の女性に比べて、PMSに罹患している確率が高い
女性の健康を守りQOLを維持する運動
骨盤底筋トレーニング
体幹トレーニング
有酸素運動
妊娠中の姿勢変化
矢状面では、骨盤前傾、胸椎後弯および腰椎前弯が増加
前額面では、股関節外転、外旋位で支持基底面を広くとるワイドベースとなることが多い
産後の姿勢変化
妊娠中に生じた姿勢変化の影響が産後も継続して見受けられる
胸腰椎の湾曲が平坦化、骨盤後傾が多い
妊娠32週では、気力の減退、慢性疲労などの心身疲労症状が増強する
産後うつ
産後女性の約10%が発症
ホルモン動態の急激な変化に加えて、家族関係や経済的背景などの要因も関与
すぐに疲れる、意欲がない、悲観的になる、赤ちゃんの世話が苦痛に感じるなどが2週間以上持続する場合は産後うつが考えられる
女性アスリートの三主徴
無月経
摂食障害
骨粗鬆症
日常生活や育児の支障となる主な原因
骨盤帯痛と腰痛をあわせた有症率は、妊娠中45%、産後25%
多くは産後3か月以内に回復
5~7%は出産後3年
経過しても17%程度は疼痛持続
産後女性の76%が仙腸関節、57.2%が恥骨結合に疼痛あり
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